懐かしくも新しい『豊かさ』を届けたい



《但馬茅葺きのはじまり》

今から12年前の2008年、ふと思い立ち訪れた縄文時代の竪穴式住居遺跡。
その中で起こった不思議な体験。
身体の芯を電流のようなものが走り抜け、そして聞こえた。

『これはいのちの住まうべきものやで』

という、天からなのか自らの内側からなのか分からぬ不思議な声。それまで全く畑違いの職についていた私にとって、この衝撃と感動が、『茅』に関わるはじまりとなりました。

訳も分からぬまま、心の意のままに、「まずは茅葺き屋根がしっかり作れるようにならなければ」と思い立ち、この出来事の翌週には、京都の奥座敷と言われる美山町に茅葺きの集落があることを知り、伝もアポもない中、勢いのままに訪町。

そして、まるで導かれているのような劇的なシチュエーションの中で、前会社(美山茅葺株式会社)社長の中野誠氏との出逢い。その後、トントン拍子で弟子入りさせていただけることとなり、親方はじめ先輩方により、技術の伝承は元より、一風変わった感性の部分も大いに伸ばし育てていただきました。

修行期間6年を経て、2015年。2008年に聞いた「声」を「形」にしていくため、ご縁あるこの但馬の地にて独立。

独立後、但馬をはじめ、兵庫県内、鳥取、島根の既存の茅葺き屋根の修繕・改修を主とする傍ら、2014年に短期留学によって学んだオランダの茅葺き技術を取り入れた、壁に茅葺きを施工する「茅壁」や、既存の瓦葺屋根の上から茅を葺く「茅GAWARA」。また、縁側の上部の庇や、ウッドデッキやテラスなどの屋根としてワンポイント的に施工することで、心豊かな空間を創出する「茅YUTAKA」など、ただ懐かしいだけのこれまでの茅葺きの枠を越えた現代の暮らしに寄り添った〝新しい時代の茅葺き〟の創出にも尽力中。

また、地域の子ども達と一緒に米を作り、麦を作り、その収穫後に取れた藁を使って藁葺き小屋作ったり、休耕田や畔に生えるススキを一緒に刈り取り、茅葺き小屋を作るなどのWSも開き、次世代への茅葺きの継承にも尽力中。

今後、ますます原点の「声」を形にして行けるよう、そして、今とこれからを生きる人々やその暮らしを支える多くの生き物にとっての「豊かさ」に少しでも寄与できるよう精進して参ります。

代表プロフィール

  • 1982年  兵庫県相生市にて生誕
  •        中学生まで地元相生で過ごす
  • 1997年  高校、大学は奈良県天理市で野球に燃える
  • 2003年  大学卒業後、天理教の教えに触れ、「多くの命に生かされているという感覚」を知る
  • 2004年  「100年先に届ける仕事」というフレーズに心熱くなり林業を志すも、「木は金なり」の現場感覚のギャップに心の芯が折れそうになり頓挫
  • 2005年  折れない心の芯を自らに育みたく、一年間、四国に地にて精神修行を行う
  • 2006年  地元相生にて福祉施設で勤務
  • 2008年  竪穴式住居の中で「声」を聞く
  • 2009年  美山茅葺き株式会社に弟子入り
  • 2011年  初の現場棟梁を任せていただく
  • 2012年  伊勢神宮式年遷宮の葺き替え作業に半年間携わらせていただく
  • 2013年  オランダ人の茅葺き職人Joost Kreuger氏に、オランダ式茅葺き工法の「茅壁」を学ぶ
  • 2014年  オランダにて茅葺き短期留学
  • 2015年  但馬の地で「但馬茅葺き」として独立する
  • 2018年  但馬で初の「本格的オランダ式茅壁」を施工する
但馬茅葺き 
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